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教師による体罰の刑事責任

  • 文責:所長 弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2023年12月11日

1 体罰の禁止

学校教育法11条は、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、…児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えてはならない。」と規定して、教師による体罰を禁止しています。

もし体罰を行えば、体罰をした教師は暴行罪や傷害罪等の刑事責任が問われることになります。

文部科学省は、体罰について、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、教員等及び学校への信頼を失墜させる行為であり、体罰により正常な倫理観を養うことはできず、むしろ児童生徒に力による解決への志向を助長させ、いじめや暴力行為などの連鎖を生むおそれがある、としています。

2 体罰と懲戒の区別

一方、学校教育法11条は、教師による懲戒を認めています。

そこで、懲戒と体罰をどのように区別するかが問題となります。

文部科学省は、教師による行為が体罰に当たるかどうかは、児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考えて、個々の事案ごとに判断する必要があるとしています。

その上で、①殴る、蹴る、突き飛ばす、物を投げつけるなど、身体に対する侵害を内容とするもののほか、②長時間にわたり正座させる、別室に留め置いてトイレに出ることも許さないなど、児童生徒に肉体的苦痛を与えるようなものに当たると判断される場合は、体罰に当たるとしています。

他方、放課後に教室に居残りさせる、授業中に教室内で起立させる、課題や清掃活動を課す、当番を多く割り当てる、立ち歩きの多い児童生徒を叱って着席させる、練習に遅刻した生徒を試合に出さず見学させるなどの行為は、肉体的苦痛を伴わない限り、懲戒として認められるとしています。

3 正当防衛等に当たる場合

そうであれば、教師が児童生徒に対して殴る、蹴る等の身体的侵害や、肉体的苦痛を与えるような場合には体罰に当たり、教師は暴行罪や傷害罪等の刑事責任を負うことになりそうです。

もっとも、文部科学省は、児童生徒から教員等に対する暴力行為に対し、教員等が防衛のためにやむを得ず有形力を行使した場合や、他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対して、これを制止したり、目前の危険を回避したりするためにやむを得ず有形力を行使した場合は体罰に当たらず、正当防衛又は正当行為として刑事責任を免れるとしています。

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