「薬物犯罪」に関するお役立ち情報
大麻に関する刑事事件の流れ
1 大麻に関する刑事事件の流れ
大麻取締法等の法律により、大麻の輸入、輸出、所持、栽培、譲渡し、譲受け、施用、施用のための交付等をすることは処罰の対象になります。
これから、自己使用目的での大麻の所持事件を例に、大麻に関する刑事事件の流れについて説明します。
2 逮捕から公判請求まで
自己使用目的の大麻の所持であっても、5年以下の懲役刑という、重い刑罰が規定されています。
また、営利目的で大麻を所持していれば、7年以下の懲役刑及び200万円以下の罰金刑という、より重い刑罰が規定されています。
通常、大麻の所持が発覚すれば、被疑者は証拠隠滅及び逃亡のおそれがあるとして、逮捕・勾留されることが多い印象です。
また、被疑者が勾留されれば、密売人などの大麻の関係者と面会して、証拠隠滅をするおそれがあるとして接見禁止の処分もなされ、弁護人以外の人との面会ができなくなることもあります。
逮捕されてからの身柄拘束の時間は、最長で72時間です。
そして、勾留が認められれば、被疑者は10日間、身柄拘束されます。
また、被疑者は、最長で10日間、勾留が延長されることがあるので、合計すると、被疑者は最長で20日間勾留されます。
被疑者が勾留されている間に、捜査機関は必要な捜査を行います。
大麻所持の事件の捜査では、大麻所持の事実のほかにも、大麻を所持していた目的、大麻を使用していた動機や経緯、密売人等、大麻の入手元との関係、常習的に大麻を使用した状況などについて、被疑者に対し取調べが行われるほか、様々な裏付け捜査が行われます。
捜査の結果を踏まえて、検察官が被疑者を公判請求するか、不起訴処分とするかを判断します。
大麻所持の事件の被疑者は、前科がなく、所持していた大麻が少なかったとしても、公判請求されることが多いです。
3 公判請求から結審まで
大麻所持の事件の被疑者が勾留中に公判請求されると、引き続き被告人として勾留されるので、身柄拘束が続きます。
もっとも、公判請求された後は保釈を請求することができます。
保釈の請求に対し、裁判官により保釈が決定され、かつ、裁判官が決定した保釈保証金を納めれば、被告人の身柄拘束は解かれます。
公判請求されてからおおむね1か月から2か月程度後に、第1回の公判期日が設定されます。
自己使用目的の大麻所持の事件では、被告人が事実を認め、事実関係に争いがなければ、第1回公判期日で結審し、手続が終わることが多いです。
事実関係に争いがない場合でも、弁護人は、証拠調べや被告人質問において、被告人が反省していることや、今後覚醒剤と縁を切ることを誓っていることなど、被告人に有利な事情を引き出すようにします。
4 判決言渡し
裁判手続が終われば、判決が言い渡されます。
判決は、裁判手続が終わって即日言い渡される場合もあれば、判決期日を設定してその日に言い渡される場合もあり、裁判官の判断によります。
自己使用目的の大麻所持の事件で、被告人が事実を認めて、事実関係に争いがなく、被告人に覚醒剤や大麻等の薬物関係の前科がないのであれば、全部執行猶予付きの判決が言い渡されることが多いです。
全部執行猶予付きの判決が言い渡されると、被告人が身柄拘束中であれば釈放されます。
なお、被告人に覚醒剤や大麻等の薬物関係の前科があれば、実刑判決が言い渡される場合がありますが、その場合でも、懲役刑の一部の執行が猶予される、一部執行猶予判決が言い渡されることがあります。
執行猶予判決が言い渡される場合、その期間中に保護観察所から指導監督を受ける保護観察を付されることがあります。
判決言渡しの日から14日以内に控訴がないならば、被告人が言渡しを受けた判決が確定します。