「交通犯罪」に関するお役立ち情報
交通事故の加害者の刑事責任
1 交通事故の加害者の責任
自動車やバイクを運転して交通事故を起こした場合、加害者は、民事上、行政上及び刑事上の3つの責任を負うことになります。
民事上の責任は、被害者に対する損害賠償の責任を負うことです。
行政上の責任は、運転免許の取消しや停止の処分を受けることです。
そして、刑事上の責任は、自分が起こした事故の内容やその結果等に応じた刑罰を受けることです。
2 交通事故に関連する刑罰
自動車やバイクを運転して、人を死傷させる交通事故を起こした場合、過失運転致死傷罪として処罰されます。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金とされていますが、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。
一方、無免許運転をしていて人を死傷させる事故を起こした場合には、10年以上の懲役に処せられるものとされ、より重く処罰されることとなります。
また、自動車もしくは原動機付自転車を運転中、①アルコールまたは薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態、あるいは②自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気の影響により、正常な運転が困難な状態に陥って交通事故を起こした場合に、人を負傷させると12年以下の懲役、人を死亡させると15年以下の懲役にそれぞれ処せられるものとされ、この場合もより重く処罰されています。
さらに、以下のような一定の危険な運転をした場合に、人を負傷させると15年以下の懲役、人を死亡させると1年以上20年以下の懲役にそれぞれ処せられるものとされ、この場合もより重く処罰されています。
- ①アルコールまたは薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で運転した場合
- ②進行を制御することが困難な高速度で運転した場合
- ③運転技能が未熟なのに運転した場合
- ④あおり運転をした場合 など
3 自転車を運転して交通事故を起こした場合の刑罰
もし、自転車を運転して、人を死傷させる交通事故を起こした場合でも、刑罰を受ける可能性があります。
この場合、過失致傷罪または重過失致死傷罪に問われる可能性があります。
過失致傷罪は30万円以下の罰金、過失致死罪は50万円以下の罰金にそれぞれ処せられるものとされています。
また、重過失致死傷罪は5年以下の懲役もしくは禁錮、又は100万円以下の罰金に処せられるものとされています。
自転車の運転による交通事故は増加する傾向にあるといわれています。
自動車やバイクを運転するときはもちろん、自転車を運転するときであっても、交通ルールに気を付けて、安全な運転を心がけたいところですが、不幸にもさまざまな偶然や事情が重なり、事故を起こしてしまうこともあるかと思います。
処分に対して不服があるとき、事実関係に争いがあるときなどは、刑事事件に詳しい弁護士へご相談いただくことをおすすめします。
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