「示談」に関するお役立ち情報
親告罪とは
1 告訴と親告罪
犯罪の被害者やその遺族等が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示を告訴と言います。
そして、決められた期間内に告訴がなければ公訴の提起ができない犯罪を親告罪と言います。
法律上、親告罪とされている犯罪は、秘密漏示罪、過失傷害罪、未成年者等誘拐罪、名誉棄損罪、器物損壊罪、信書隠匿罪などがあります。
また、窃盗罪、詐欺罪、背任罪、恐喝罪、横領罪については、一定の範囲外の親族間の犯罪について、親告罪とされています。
なお、被害者は、犯罪による被害を受けたとき、被害を受けた事実を捜査機関に申告する被害届を作成します。
告訴の手続は、被害届の手続と重なるところがありますが、別の手続となります。
2 親告罪の不起訴処分
親告罪において、有効な告訴がない場合、刑事手続きとしては不起訴処分になります。
その際、不起訴処分の理由となるのは、親告罪の告訴の欠如、無効又は取消しになります。
告訴の欠如とは、有効な告訴がなされていなかった場合を指します。
告訴の無効とは、告訴が法律上の要件を満たさず、無効である場合を指します。
告訴の無効の例として多いのは、決められた期間を経過した後の告訴があります。
告訴の取消しとは、いったんなされた有効な告訴を取り消した場合を指します。
告訴は公訴の提起があるまでは取り消すことができますが、告訴を取り消した後で、更に告訴をすることはできません。
3 親告罪の弁護
親告罪についても、刑事弁護の方針はほかの事件と変わりません。
もっとも、親告罪の性質から、被害者に告訴をしないことや、すでにした告訴を取り消してもらうことにより、被疑者に不起訴処分の結果をもたらすことが重要になります。
そのため、親告罪の刑事弁護については、弁護人が被害者に対し、謝罪や示談のために話し合いをし、示談をまとめることがより重要になります。
もっとも、示談がまとまり被害者が被害届を取り下げたとしても、それによって被害者が告訴を取り消したことにはならず、別途、被害者による告訴取消しの手続が必要になります。
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